【ドラマ】マーダー・イン・ザ・ビルディング シーズン3

演劇臭い仕立てにしたことでわざとらしさが増してしまい、物語に入り込めなかった「マーダー・イン・ザ・ビルディング」のシーズン2。その点を反省したのかシーズン3では、そもそも演劇の舞台に絡めて殺人が起きるという設定にして、その開き直りが功を奏して実に面白いストーリーを展開させてくれた。

アントマン」のポール・ラッドは殺人の被害者役だったこともあって、持ち味を十分に発揮する形にならなかった。一方で「グレイズ・アナトミー」でジャクソン・エイブリーを演じたジェシー・ウィリアムズは、目立たない役のようで実はそれなりに見せ場があり、「金持ちのおぼっちゃん」の枠に嵌められた「グレイズ~」よりも伸び伸びと演技していた。

そして、何よりもメリル・ストリープの存在感だ。とまどいを見せながらも息子への偏愛を持った母親を演じる様子は、メリルならではの味わいがあった。メリルのキスシーンは、製作陣にも名を連ねるマーティン・ショートの意向が反映したのではないかと邪推したくもなるが、相手を務めたマーティンが楽しそうに演技していたのが印象的だった。

それにしても、主役3人の吹き替えの合わなさ加減は著しい。特にスティーブ・マーティンの吹き替えは、年寄りであることをフィーチャーした演出だとしても活舌が悪すぎるし、セレーナ・ゴメスの声も甲高くて実際の声に合わない。気にしないようにしてはいたが、やはり吹き替えが合っているかどうかは気になってしまうものだ。