【映画】ザ・ロストシティ

細かい部分ではそれなりに考証を行っているようにも見えるが、そんなことは気にしないで気軽に笑って楽しむ作品であることは間違いない。サンドラ・ブロックが一流のコメディエンヌであることは、以前から理解していた通り。ただ、年齢を考えると作品公開時点で57歳のはずで、あえて「年輪」を感じさせないほどにベタな演出にしたところは、製作陣の狙いだったのかもしれない。

脇を固める俳優陣も贅沢で、ダニエル・ラドクリフはこのベタなコメディに意外なほどにハマっていた。嘘くさい金持ちの息子という設定が、彼に似合うのだろう。「ハリー・ポッター」シリーズの最後の方では、ホグワーツに通うには無理があるほどしっかりした大人の風貌になっていたが、本作の要素を見れば魔法学校の生徒でも十分通用しそうにも思える。

そしてブラッド・ピットは強い存在感を残しながらも、振り返ってみると大したことはしていない。こちらもブラピらしい演技をうまくはめ込むことで、作品に魅力を添えている。そう考えるとキャスティングに加え、俳優に合わせた役柄と場面設定の妙が本作の最大の魅力だと言ってよさそうだ。