【ドラマ】ウェールズ連続少女殺人事件~30年目の真実

実話に基づいて、ウェールズで発生した連続殺人事件を30年後に再捜査し、遺体を掘り起こしてDNA鑑定を行って殺人犯を追う物語。犯罪捜査の要素も十分に盛り込まれてはいるものの、本作が描いているのは関係者の心理というか、感情の動きそのものだ。娘を殺された親しかり、容疑者と一緒に埋葬されている死者の子供しかり、それぞれの立場でどう気持ちが動くのかを緻密に描いている。

登場人物は地味で、いかにも英国の地方にありがちなコミュニティで暮らす労働者階級が中心だ。全4話のエピソードはそれぞれが1時間程度と長く、45分程度の米国ドラマに慣れてしまった身には、集中を維持するのは決して容易ではないだろう。僕自身も、考えさせられる場面が多く、それなりに充実感があったものの、それほど物語に入り込めたわけではないこともまた事実だった。

最近、見るドラマの多くが「実話に基づく」設定になっており、その確率が妙に高いように感じている。思うにこれは、完全なフィクションであるならば、その設定にした根拠を突っ込まれるリスクがある。例えば、事件の犯人を黒人やアジア系にしたら、テロの容疑者をアラブ系やイスラム教徒にしたら、レイシズムという誹りを受けてしまう可能性がある。いや、今の世の中では「可能性がある」というレベルの話ではないのかもしれない。それだけに、実話に沿った設定であれば、エクスキューズがしやすいのではないだろうか。