【映画】Lift/リフト

コメディタッチの犯罪物で、ヴェネツィアを起点にスイスやロンドン、ブリュッセルなどヨーロッパ各地を舞台にしているところで興味を引かれた。この手の作品にはありがちなように、かなり無理のある設定ではあるのだが、細かい部分ではロジックが破綻しないような配慮があることに好感を持った。

ジャン・レノヴィンセント・ドノフリオも登場する場面はさほど多くないが、存在感を発揮しているのはさすが。逆に言えばコメディアンのケヴィン・ハートを主役に据える一方で、演技力のあるベテランで脇を固めたということでもある。ヴィンセント・ドノフリオは妙に人の良さそうな印象で、マーベルのキングピン役で見せる根っからの悪人といった雰囲気は微塵も感じられなかった。それだけ、役作りをしっかりしているということだろう。

犯罪の対象となるNFTは、それ自体が流行しているというよりは、一攫千金レベルの金儲けをするためのキーワードとして、一部で過剰に期待されていると考えるのが現実的だろう。インスタに展覧会やストリートのアート作品を上げていると、頻繁に「NFTで購入したい」という英文のスパムメールが届くが、金儲けと詐欺の道具としてアートが扱われるのは何とも寂しいものだ。