【ドラマ】汚れなき子

圧倒的な見応えのある、ドイツ製作による重厚なドラマ。舞台はドイツ西部のベルギーやオランダとの国境に近いエリアで、デュッセルドルフフライブルク、メンヘングラードバッハ、アーヘンなど聞き覚えのある都市名が登場する。設定が複雑で、1話ごとにどんでん返しがあり、誰が犯人で誰が本当の被害者なのか、最後まで予断を許さない展開での全6話は、あっという間に見終わってしまうだろう。

誘拐され、2人の見知らぬ子どもたちと密室に監禁されるヤスミンは、母親役を務めることを強要される。脱出を図るものの、子どもたちともども洗脳が解けず、サイバーな監視下から逃れることができない。その展開の中で、記憶力抜群で犯人を信奉してしまっている少女ハンナの存在感が恐ろしい。演じるのは12歳のナイラ・シューバースだが、弟やヤスミンを支配しようとする表情や台詞回しは、ベテラン俳優にも匹敵するようなものだ。吹き替えで見たため、実際の音声ではないのだが、それでも背筋が凍るような雰囲気を携えていることは伝わってきた。

単なるひき逃げ事件の捜査のはずが、連続誘拐殺人事件にまで捜査を拡大した上に、地雷原のある軍事施設にまで無許可で乗り込むことになる警察の設定には無理があるが、プロットの奥深さの前ではあまり気にならなくなってしまう。個人的には、真犯人が想定の範囲内だったこともあり、納得感のある形で伏線を回収してくれる作り方はありがたいし、見終わった後の充実感にもつながっている。