【ドラマ】容疑者~ねじれた犯罪心理~

臨床心理士である主人公ジョーが連続殺人事件の容疑者として警察にマークされ、徐々に外堀を埋められてドツボにハマってゆく展開のドラマ。しかしながら、終盤まで彼が本当に真犯人なのか、ただハメられているだけなのかがわからず、どちらに転んでもおかしくない設定にしているところが絶妙で、最後まで興味を引っ張ってくれる。

かたや追う側の刑事ルイーズを演じるショーン・パークスが、僕にはどうしても生瀬勝久に見えて仕方なかった。表情、特に口の歪め方が、まさに生瀬のそれによく似ていたからだ。尋問するときのねちっこさも合わせて、まったく違う人種なのに、同一人物に見えたのは不思議でしかない。

それ以外の俳優陣も、個性的でいかにも演劇大国の英国らしいラインナップ。奔放なジョーの妻が繰り広げる男女関係が、結果的にこの物語の綾を織り成す重要なカギになっているあたりも演劇的で、その意味でも欠かせない要素になっている。

ロンドンとリバプールが舞台なので、いかにも英国らしい風景が時おり挟み込まれる。テムズ川マージー川も情緒があるが、レンガが使われた街並みの欧州らしい雰囲気には、旅気分にもさせてもらえる。物語それ自体はハッピーなストーリーではないが、気分的に暗くなることはなく、距離感を置いて見られるということだ。