【ドラマ】The TUNNEL/ トンネル シーズン2~3

シーズン1は「ブリッジ」のリメイクで、ユーロトンネルを舞台にした事件を描いていたが、シーズン2も3もトンネルは無理やり登場させた感があり、タイトルに偽りありという印象だ。同じキャストと設定でも、別のタイトルをつけるドラマもあるのだから、「トンネル」にこだわる必要はなかったのではないだろうか。英仏両国の刑事が感情面も含めて関わり合いながら捜査を進めることに本質があるので、「トンネル」である必要は感じない。

シーズン2の航空機爆破事件は、いまいち全容がつかみにくくて入り込めなかったが、シーズン3は「ハーメルンの笛吹男」をモチーフにしていることでストーリーの骨格がしっかりしている。随所に挟み込まれるヨーロッパ各国間の文化の違いがアクセントになり、ドーバー海峡の両岸にあるカレーとケントの街の美しさとあいまって旅に出たい気分まで高まってしまう。

最後の最後に「サンデルの正義」のような選択に迫られる中、エリースはいかにも彼女らしい価値観で答えを出す。そのシーンは衝撃的でもあるが、ビジュアル的には意外にあっさりと見せてくれたことにドラマとしての「土手」のようなものを感じた。あれ以上にリアルにしても、満足度が下がってしまうのは必然。作り手としての欲望をセーブしても、マイルドな仕上がりにする必要があったということなのだと思う。