【ドラマ】NOLLY ソープオペラの女王

全3話という限られた時間の中で、ヘレナ・ボナム・カーターの演技力と魅力を余すところなく伝える作品。「ソープオペラ」の位置づけは、日本でいえばメロドラマだが、どちらかというとNHKの連続ドラマ小説のように、多くの視聴者が楽しみにして話題にするようなものだろう。主人公の女優ノエル・ゴードンは実在の人物で、彼女が「クロスローズ」という番組でメグ・モーティマー役を演じるところを描いている。

要は「大衆受けのするわかりやすいドラマを演じる女優」を演じることになるのだが、仕切り屋で自分の思い通りに脚本や演出を変更させることが状態化して、実質的な現場監督のような振舞いを見せる。組織の中で「お局様」のような存在で、よかれと思っての言動が周囲から疎まれる。このあたりは、場面を変えれば誰しもが経験したことのある状況ではないだろうか。

それはまさに、「ザ・クラウン」でヘレナが演じた奔放な王女マーガレットにも似ているが、その世界の中心により近いところにいるところは、本流ではなかったマーガレットとの相違点になる。ちなみに、「マーガレット」という名前の通称は「メグ」なので、何かの因縁を感じてしまう。

脇を固める俳優陣も、英国が舞台なのでハリウッド映画や米国ドラマの主役級ではないものの、どこかで見たことのある個性派が揃っている。演劇大国らしいキャスティングと作り込みは、見る者を独特の世界観に引き込んでくれることだろう。