【ドラマ】Lupin/ルパン パート3

ルパンのパート3は、主人公アサン・ディオプの母親を巡って展開する。セネガル系という7設定だが、パリで見かけるアフリカ系住民は米国と比べて民族性が強く、伝統的な文化をまとって生活している印象がある。セネガルのように旧宗主国と旧植民地という関係の下でコミュニティも存在するだろうし、つながりも深いはず。米国で「人種のるつぼ」と表現されるように、人種を混然一体とさせる「アメリカン」という強烈なアイデンティティが不在な分だけ、民族性が発揮できるのだろう。

カナダのトロントを評して「人種のモザイク」と言うらしいが、これも交じり合わずに点在することの表現。フランスもまた、それぞれのアイデンティティを残す環境があるということで、それだけ米国の一体感は強制力を持つ宗教のようなものなのかもしれない。だからこそ世界の警察のようにも振舞い、強力なリーダーシップを発揮できているということにもつながっている。

ストーリーとしては一話完結の要素を加えながら、時間を遡ってトリックの種明かしをする手法は確立してきている。そのために、かえってワンパターン化している印象も拭えないのだが、アサンを演じるオマール・シーの余裕のある演技と、エピソードごとに趣を変えながらハマる変装で楽しませてもくれるので、飽きずに全7話を見終わってしまうはずだ。