【Disney+】シャン・チー/テン・リングスの伝説

マーベルは「ブラックパンサー」でアフリカとアフリカ系民族の市場へ拡大したが、中国市場についてはこれまでも「ドクター・ストレンジ」や「エージェント・オブ・シールド」などでつながりを描いていた。しかし、本作は主人公を含む登場人物のほとんどすべてが中国系。かなりの不安を抱きながら、Disney+で視聴してみた。

率直な印象としては、これは「グリーン・デスティニー」であり「ゲーム・オブ・スローンズ」だ。中国の伝統的な、というかステレオタイプな描き方をベースに、歴史を感じさせる世界観に包まれ、そこにファンタジー要素が加わる。僕はこの2作のどちらも好きなので、本作を見始めてすぐに安心することができた。何よりも、全体の雰囲気を明るくしているのは、ケイティ役のオークワフィナ。コメディ路線を感じさせつつも、しっかりとした演技で作品のアクセントになっている。

マーベル作品のお楽しみはエンドロール中と後のショートムービーだが、今回もなかなか期待させてくれる内容だ。そしてエンドロール終盤に流れる「ホテル・カリフォルニア」も意味深。この曲の歌詞は「さまざまな人(人種)が集まってくる場所としてのカリフォルニア」を歌ったもので、まさに中国系移民を指しているかのような選曲なのだ。舞台となるサンフランシスコも、中国系移民の多い街。中国市場を狙いつつ、米国の移民問題へのメッセージも隠れているような気がする。