【ドラマ】バティスト ~ブダペストに消えた影~

実に骨太なドラマだった。ハンガリーを舞台に民族浄化を図るテロリストと英国大使に元刑事のバティストが絡むストーリーは、家族というテーマに沿って濃厚な全6話が展開する。何よりも見どころはフィオナ・ショウの演技。ハリーポッターシリーズのペチュニアおばさんとは思えないし、「キリング・イブ」のやや引いた演技とはうって変わって感情を込めた迫真の演技を見せてくれた。相方がチェッキー・カリョでなければ、完全に食われてしまっていたことだろう。

ハンガリーという国はあまり詳しく知らないが、もともとフン族中央アジアからゲルマン大移動の流れで流れ込んだはず。本作ではトルコ系などの移民を目の敵にする一派が描かれるが、それはある意味シニカルでもあり、また「よくある話」としても理解できた。作中で「ハンガリーは自由の国」という米国かのようなフレーズがあったが、その意味では米国の現状を投影する意図があったのかもしれない。米国も白人は移民であり、もともとはネイティブ・アメリカンの土地なのだから。

前作でのアムステルダムから舞台は南東に移動しているが、続きはあるのだろうか。バティストが新たな人生を始めそうな終わり方だったが、彼の性格からして何か事が起きれば飛んで行くはず。リトアニアとかスロヴェニアあたりで作ってくれたら、僕としてはうれしいところなのだが…