【映画】スウィング・キッズ

あまり見ない韓国映画だが、行きつけのコーヒースタンドの店主が絶賛していたので、興味を持って見ることにした「スウィング・キッズ」。韓国らしくリアリティにこだわらずにエンターテイメント性を織り交ぜているため、重いテーマにしては暗い気分にならずに見進めることができる。ただ、終盤の展開は衝撃的なので、油断しないで臨んだ方がよさそうだ。

マニフェスト」では新興宗教のリーダーを演じていたジャレッド・グライムスが、米軍下士官ジャクソンを好演している。彼のファーストネームのイニシャルは「M」だが、マイケルを思わせる一種のパロディなのだろう。黒人とアジア系というマイノリティの中では「米国市民」ということで別格の扱いではあるが、それでも白人の部下から蔑んだ発言を受けるなど、この時代の人種問題を如実に描いている。

中国や北朝鮮の捕虜も含め、多国籍なアジアを感じさせてくれる内容だが、朝鮮戦争のの状況をあらためて考えると、米国に韓国系の移民が多いことも理解できる。何となくアメリカンドリームを目指したような印象を持っていたのだが、実際は米軍や38度線問題などによって華僑とは違う背景から祖国を離れたということなのではないか。

崖の上を流れる雲やタップダンスを踏む木の床がきしむ様子など、映像としての描写にもこだわりが感じられる。床から木材の匂いが漂ってきそうな、そんなリアル感のある映像から伝わってくるものも意識して感じてもらいたい、そんな作品だ。