ラグビーにおいて、ロースコアな展開になると終盤の反則が大きく影響する。この準決勝は、まさにそれを示す試合となった。全体的なペースとしてはイングランドが押しているように見えていたが、両チームともになかなかトライに結びつけることができない。そんな中で、イングランドのSOファレルが後半13分にドロップゴールを決める。あの場面でDGという選択をすることが頭の中に明確にあるかどうかが重要で、一瞬の判断でそれを実行したファレルの素晴らしさだ。
これで15-6と9点差にしたイングランドだったが、一瞬の隙から南アフリカの逆転トライが生まれる。後半29分に南アフリカが攻め込んだ地点からのラインナウト。モールを組んだかと思いきや、意表を突く形で素早くボールを持ち出してゴールラインに迫り、ラックから短く展開してLOのR.G.スナイマンがグラウンディングした。コンバージョンも決まって、これで2点差。PGひとつでひっくり返るスリリングな状況を迎えることになった。
そして迎えた38分。距離のある位置ではあったがイングランドのコラプシングでPGの機会が到来。これをSOポラードが決めて、イングランドを失意の底に叩き落した。何となくの所感としては、南アフリカが80分間をトータルで考えたマネジメントをしたのに対し、イングランドはスターティングメンバーにすべてを託したように見え、それが終盤に逆転劇に間接的に作用したのではないかと感じられた。
南半球対決となった決勝よりも、個人的にはイングランドとアルゼンチンの3位決定戦の方が気になっている。