【ラグビーワールドカップ】イングランド―日本

80分間を通して、サブの選手も含めた総合力として、イングランドは強かった。何よりも勝負所を押さえている印象で、ここぞというタイミングで実力を発揮した。一方の日本は、惜しい場面が多かった。序盤、いきなりFBマシレワが自陣ゴール内のイージーなプレーでミスをしてしまったことが、そもそもの始まり。マシレワは直後に負傷退場うしてしまうので、何をしに出てきたのかわからない。イングランドの最初のトライも、ラインナウトでの日本のミスが起因になっており、もったいなさが募る。

日本はトライ狙いのスタンスを変え、序盤から松田のキックを多用する。PGを狙って得点を積み上げることで、イングランドにプレッシャーをかける戦術はある程度機能していた。そして、チリ戦で僕が指摘していた短いキックも戦術として使われ、チャンスを生み出していた。やはり、この程度のリスクを冒す覚悟がなければ、このレベルの大会は戦えない。サモアとアルゼンチンに対しても、この戦術は有効なはずだ。

イングランドはディフェンスが早く、ちょっと迷っていると、あっという間に襲い掛かってくる。判断の遅さは日本の大きな課題だが、選択肢としてのアイデアの少なさとセットで悩ましいところだ。特にFWの選手は、最善の策として「当たりに行っている」のではなく、相手のプレッシャーと判断の遅さから、それしかない状況でやむを得ず当たっている印象だ。オープンな状態でWTBにボールが渡らないと、トライにつなげるのは難しい。一朝一夕に改善できるものではないので、どこまでリスクを取るかという決め事しかないだろう。