【ラグビーワールドカップ】フランス―南アフリカ

両チームの良さが出た前半と、お互いにつぶし合った後半。それにしても、準々決勝は素晴らしい内容の試合が続く。フランスはFW陣の連携した突進が見事で、ボールホルダーにサポートする形でモールを組んで前進する。パス回しにおいても、受け手に迷いがなく、勢いをつけた状態でポイントを作れているから効果的だ。この迷いなさと勢い、つまり次のプレーへの予測と準備こそが日本に欠けている部分だと思うのだ。

フランスは、SHが持ったまま巻き込まれたラックからボールを出していたHOマウバカがトライを決めるなど、FWが存在感を発揮。PRバイユも2つのトライを挙げたが、最初のプレーで大外に待っていたポジショニングも光る。

一方の南アフリカは圧倒的な走力を発揮したが、結果的にこの試合の勝敗を分けたのはコンバージョンチャージ。フランスのFBトマ・ラモスが助走に入った時点でルール通り飛び出した南アフリカのWTBコルビが、華麗にチャージを成功させた。なかなか見る機会のない希少なプレーで成功確率も低いのだが、これが勝利へのキーポイントになった。

後半の南アフリカのトライは、フランスのファウルからPGではなくトライを狙いに行く選択をしたところからの展開。相手を振り切ってでもインゴールにグラウンディングするという強い意志を感じる突進だった。逆に最後のフランスの攻撃がハンドリングエラーで終わってしまったのは、非常に残念だ。もう少し耐えて相手のゴールを引き出していたら、劇的な逆転PGの可能性もあったし、DGという選択も生まれていたかもしれない。

これでフランスとアルゼンチンの決勝は消えてしまったが、まだまだハイレベルなラグビーを楽しませてもらえそうでワクワクしている。