【ドラマ】ボッシュ:受け継がれるもの

BOSCH/ボッシュ」のスピンオフだが、原題のLegacyをうまく意訳したタイトルだ。基になる「ボッシュ」が刑事ハリー・ボッシュを指すのに対し、本作の「ボッシュ」はハリーと娘のマディの両方を含めていると思われる。そのあたりのニュアンスが「レガシー」では伝わらないので、日本語版の制作陣は相当に考え抜いて決めたのだろう。

ベテラン刑事ハリーが退職することは本編で語られていたが、入れ替わるように警察に就職したマディが新米警官らしい演技を地のようでもあり、巧みな演技のようでもある見せ方で表現している。体形はアスリートで走り込む姿も描かれるが、犯人を追って走り出すマディを見ていると、とても追いつけそうには思えない。これが演技というか、演出によるものなのであれば、とてつもないこだわりだと感じる。

ハリーは私立探偵になり、その登録手続きのシーンがあるのだが、米国の探偵資格の確認の中で「公職としての捜査経験」が一定時間もとめられているようで、いかにも警察官のセカンドキャリア支援策のように見える。日本語では「私立探偵」だが、英語で言えばPrivate Detectiveなので、つまりは「個人事業の刑事」ということだ。ドラマでの描き方を見ていても、米国の警察制度では刑事は普通のパトロール警官より格上であり、「刑事」という呼称が敬称のように使われる(FBI捜査官のAgentも同様)。このあたりは日本で生活していると、なかなか理解できないところだ。