【ドラマ】刑事ジョン・ルーサー

刑事が主役ではあるが、いわゆる捜査モノではない。犯人を追い詰めるのはルーサーの直感と決めつけで、いつのまにか特定されてしまうので、その過程を楽しむのは不可能。その代わりに心理描写や猟奇的な事件の背景に背筋を凍らせるのが、この作品の正しい鑑賞法なのだと思う。その意味でも、アリス・モーガンという不可思議な登場人物を抜きにして語ることはできない。

サイコパス、もしくはソシオパスのように描きながら、最終話ではそれを否定するような台詞を散りばめていたが、彼女の特殊性こそがこの作品の味わいだ。時には人を殺し、時にはルーサーの相棒のように振舞い、最終的には自ら転落する道を選択する。この結末では、間もなく公開予定の映画版には出ないようにも思われるが、アリスのいないルーサーでは世界観が変わってしまうと言っても過言ではない。

シーズンは5つあるが、それぞれの話数が少ないので、全部合わせても20話。一気に見るには最適だが、心理的にはちょっと辛いかもしれない。とにかく同僚の刑事がすぐ死ぬし、事件そのものが猟奇的なので、もうロンドンには行きたくないという気持ちにすらさせられてしまう。また、謎のエピソード0がシーズン1には存在するようだが、これを見るにはどうしたらよいのか、今のところわかっていない状況だ。