【フィギュア】ジャパン・オープン/カーニバル・オン・アイス

ゲストで出演するパパダキス/シゼロン見たさに、ジャパン・オープンとカーニバル・オン・アイスを配信で視聴した。ジャパン・オープンは実質的にはエキシビション大会で、引退した宮原知子とマライア・ベル、クヴィテラシヴィリで人数合わせをしたようなキャスティングで、現役選手は今季のプログラムをお披露目する場という印象だったが、プロスケーターとして表現力を増したふたりの魅力も感じられて、満足度の高い場になっていた。

その意味でも、見どころは完全にアイスショーに徹することができる「カーニバル~」に多かった。冒頭、配信対象外が事前に告知されていたEXILE TAKAHIROのステージで始まったために配信開始時刻の18:30を過ぎても20分近く始まらず、不快な気分にさせられてしまったが、いきなりハラミちゃんがダイナミックなピアノで「ボヘミアン・ラプソディ」を奏でると、一気に気分が盛り上がった。

序盤からステファン・ランビエールがフル稼働し、芸術性の高いパフォーマンスを先導する。荒川静香宮原知子宇野昌磨も登場して、それだけでも豪華な雰囲気だ。顔を緑色に塗ったクヴィテラシヴィリが「ザ・マスク」に扮して現れると、コミカルな要素が加えられる。ジャパン・オープンでは、チームメイトから微妙に浮いていた感じのあった彼が、本領を発揮して会場を沸かせた。

一番の驚きは、宮原知子の成長。表現力の幅が広がり、表情も豊かになっており、これなら再び競技に復帰しても新境地を開けるのではないかという気にさせられた。インタビューでの「しゃべり」にも進化を感じられたが、最近のインスタで何となく感じていた宮原の変化を目の当たりにしたショーとなった。その宮原がランビエール、荒川と滑った「ミス・サイゴン」のプログラムは芸術性も完成度も高く、印象に残るパフォーマンスだった。

お目当てだったパパダキス/シゼロンは、独特の世界観で見る者を引き込む。ジャパン・オープンでの演技はやや物足りなさがあったが、「カーニバル~」では高い技術に裏打ちされた芸術性あふれる演技を見せてくれた。「リフト」や「スピン」などという枠では語れない要素が、そこにふんだんに詰められていた。

通し券の配信チケットは5,000円とリーズナブルではなかったが、十分に元は取れる内容だった。ただ、「カーニバル~」の開演時の説明不足だけは改善の余地がある。配信者は「まもなく開演」のテロップを表示し続けるのではなく、もう少し説明する責任があるはずだ。