【全日本フィギュア】女子シングル・フリー

全日本フィギュアスケート選手権の女子シングルは、若干の波乱で幕を閉じた。すべての発端は、樋口新葉が攻めた演技で復活を遂げたことだったように思う。世界選手権への派遣枠は「3」。紀平はほぼ確定だろうから、現実的には残り2枠を宮原知子、坂本花織、樋口で争う形であることは想像に難くない。

本田真凛を挟んで宮原の演技となったが、かつての「ミス・パーフェクト」の面影はなく、以前からの回転不足に着氷の乱れが重なって得点を伸ばせない。ここで坂本にチャンスが訪れたわけだが、宮原に続いて守りに入ってしまった印象で、ジャンプでミスした際にどこか傷めたのではないかと思わせるくらい精彩を欠いた内容だった。

最終滑走の紀平をリンクに迎えた時点でトップは樋口、そして2位はジュニアの川端和愛だった。こうなると紀平は無理をして4回転サルコウに挑んで負傷するリスクを冒す必要がなくなり、3Sに切り替えて無難にまとめた。とはいえ、3Aでは高いGOEがついていたので、さすがの安定感というところだ。

これで、世界選手権の派遣は紀平、樋口と宮原だろうか。ロシア勢が間違いなく上位を占めそうだが、日本の3枠確保は例えば4位と9位のような形だろう。今の宮原が上位に食い込むことは難しそうなので、樋口の勝負強さに賭けたいところだ。