【ラグビーワールドカップ】日本―アルゼンチン

勝てるチャンスは十分にあったものの、やはり実力的にもアルゼンチンの方が上だと感じる試合だった。アルゼンチンは両ウィングをオープンなスペースに走らせることができた一方で、日本は走力のある選手の前にスペースを作り出せなかった。今大会を通して松島は活躍できなかったし、ナイカブラやライリー、フィフィタも十分に見せ場が与えられなかったことは残念だ。

フィフィタが持って突進し、斎藤がトライを決めたシーンでは、外側を走る松島をおとりのように使ってフィフィタが中に切れ込むというプレーがあったが、これが最大の見せ場だった。個人的にはドロップゴールを狙いに行ったところは前向きに評価しており、松田の失敗から逆襲を食らったのは惜しかったが、レメキが距離のあるところから決めてくれたことがうれしかった。やはり近年のラグビーでは、長短のキックやドロップゴールを交えてピッチを広く使うことが求められている。

日本のプレーで物足りない点をもうひとつ挙げると、パスを受けたときに次のプレーを想定しておらず、迷ったあげくに「とりあえず(前の相手選手に)当たる」選択が多すぎること。これが流れを淀ませることにつながり、サイドにオープンな状態を作れない一因でもある。

これで日本はグループリーグ敗退となったが、高齢化しているベテラン陣を若手に置き換える必要がある。戦力を落とさずに世代交代するのは至難の業だが、今大会で頭角を表した若手に期待するしかない。エディ・ジョーンズ復帰説が取りざたされているが、ジェイミー・ジョセフの人選には疑問もあるので、人心一新も悪くない選択だ。