アイスダンスのフリーダンスは、いきなり重苦しい展開で幕を開けた。第1グループの最初の2組が落下や転倒で大きなミスを見せてしまい、他のカップルも演技が慎重になってしまう。東和薬品RACTABドームの氷は滑りが悪い印象で、選手がブレードを漕ぐようなシーンが相次いでいたこともあり、何となくもったりした雰囲気が漂っていた。そんな中での小松原夫妻も精彩を欠き、特にティム・コレトがツイズルで美里より下のレベルしか取れないなど、足を引っ張ってしまった感がある。
村元/髙橋組は初優勝に向けてモチベーション全開で演技をスタートさせたものの、ワンフットステップシークエンスでうまくエッジが回らなくなったあたりからミスが増え始める。疲れが後半に出るのはいつものことだが、序盤から飛ばし過ぎた反動が、想定より早く出てしまったようだ。最後の最後でリフトから下りての回転で村元のフットワークが若干ズレてしまい、そのリカバリーに髙橋が失敗した印象だった。つまり単純な髙橋のミスではなく、村元とのコンビネーションのズレだったのではないか。それでも余裕で優勝したのだから、世界選手権に向けて期待が高まるというものだ。
女子シングルもミスが続く中、三原と坂本は安定した演技を見せる。優勝した坂本と三原との差は、やはりGOEが取れるかどうか。宮原知子が得点を伸ばせなかったように、三原のスケーティングも加点要素が見出しにくい。これは簡単に克服できるものではないだけに、いかに構成で補うかしかないのではないか。
実績のある選手も下位に沈んだ結果になってしまったが、プログラム・コンポーネンツだけで比較すれば坂本と三原に続くのは松生、紀平。やはりこのあたりは、大きく評価がブレない部分なのだろう。
