【世界フィギュア】鍵山がSP2位

羽生結弦は相変わらずの羽生だったが、それ以上にインパクトのあるパフォーマンスを見せつけてくれたのが17歳になった鍵山優真だった。序盤からスピードに乗ったスケーティングでプログラムに入って行ったが、最初のジャンプに向かう際に重心をしっかり落として深いエッジに乗った滑りだったので、この時点で僕は「期待できそうだ」と思っていた。「Voccusion」という独特なリズムの楽曲に合った振り付けや表情も、彼の好調さを裏付けていたように思う。

SPはジャンプひとつが命取りになる。例えば単独ジャンプが2回転以下で終われば、規定違反で0点になってしまうのだ。転倒してもGOEで引かれるのはBVの半分なので、転倒よりも回転不足の方が後々への影響は大きい。ところが、この日の鍵山はジャンプも問題なくというよりは素晴らしい内容。滑り終わった後の本人も、実父でもあるコーチも素直に喜んでいたのが印象的だ。

世界選手権は、そのシーズンも集大成でもあり、次の大会への国としての枠を取るという使命もある。例年、思い通りのパフォーマンスができない選手を多く見る気がするが、今大会でもSPを見る限り全体的に低調な出来だ。それには、上述の通り、SPではリスクを冒したくないという思いもあることだろう。女子は悪くないパフォーマンスだった紀平も坂本も思ったほど得点が伸びず、新しい採点方法の綾も感じられる。男女とも好位置にはつけているので、フリーに期待しよう。宮原知子は心配だが、何とか持ち直して欲しい。