【東京V―大分】監督と選手のズレ

GKにはどうしようもないゴールを序盤に決められた大分は、直後に退場者を出すという最悪の展開で、またしても勝ち点を積み上げられずに終わってしまった。ペレイラの退場後は、ボランチに入っていた羽田をDFに下げることで大きく選手を動かすことなく対応できたこともあって、大きな破綻なく0-1のまま終えることになる。クラブの公式発信は予想通り、またしても「選手は最後まであきらめなかった」という部分を評価する内容だった。

確かに、この展開であの内容なら評価できる部分はある。個人的にもそう感じていたのだが、下平監督のハーフタイムコメントを後から見て、違和感を禁じ得なかった。

>> ビルドアップも続け、少ないチャンスをものにしよう

もちろん公式に発表されるコメントは言葉通りではないし、オブラートに包んで戦術にも触れない「見せかけ」のものであることは十分理解している。しかし、このコメントを読む限り下平監督は、いつものようにポゼッションで相手を剥がせという指示をしていたように見受けられる。

直近の大分の課題は、ビルドアップして崩せてもゴール前で仕留める選手がいないこと。それは、このブログでも何度も指摘している。ひとり少ない状況でビルドアップに人を割くということは、ゴール前の人数が普段よりさらに減ってしまうはず。決定力のある渡邉を中盤に下げていたこともあり、誰がどう点を取るイメージを持っていたのかという疑問を拭えないのだ。

一方で、試合後のインタビューで羽田は、

>> 相手のほうが多いので、ボールを持ってこねるよりは(長沢)駿くんにシンプルに当てて、そのこぼれ球で攻撃できればと考えていた

と言っているが、この考え方なら納得できる。言い方を変えれば、下平監督と羽田の間には大きなズレがあったように思えてしまう。また、この戦術で行くなら、70分の長沢投入は遅すぎた。

もはや昇格プレーオフなど望むべくもなく、残された4試合でいかにサポーターの溜飲が下がる内容を見せてくれるかしかない。昨年のシーズン終了後に、いち早く契約更新が伝えられた野村が負傷欠場し、町田と梅崎も結果を残せない状況では、若い選手に期待するしかなさそうだ。