【バスケワールドカップ】日本―カーポベルデ

これまでの2勝が4Qでの逆転勝利だっただけに、4Qの失速は選手たちも動揺したはずだ。誰が打っても入らない展開は1Q序盤も同様だったが、合っていなかったシュートタッチをアジャストした後、最後の最後でこんな試練が待っているとは誰も思わなかったことだろう。4Qの最初の得点は、クォーターが始まって7分以上が経過した時点で、しかもそれは相手のテクニカルファウルで得たFT1本だった。

それでも、さほど焦る雰囲気もなく、日本がタイムアウトを取ったのもその直前という状況を生み出したのは、2Qから3Qにかけて完全に流れをつかんでいたからだ。その立役者は富永啓生。終盤の2本は外したものの、途中までは3Pを6/6という驚異の決定率でカーポベルデのモチベーションを削った。スタッツからは読み取り難いが、今日は吉井の貢献も大きかった。フィジカルの強いカーポベルデ対策として渡邊雄太とジョシュ・ホーキンソンを40分使う中、リバウンドやスクリーンでもしっかり役割を果たした吉井は隠れたMVPかもしれない。

カーポベルデは序盤からアリウープを決めるなど派手な個人技に走る一方、パスワークの精度は低く、ターンオーバーを狙った日本のディフェンスがツボにハマっていた。4Qの日本は7点しか取れなかったが、対するカーポベルデも16点と一気にひっくり返すだけの勢いはなかった。それが日本にとっては幸いしたが、危ないゲームであったことは間違いない。これでパリオリンピックの出場権を獲得したとはいえ、更なる底上げがないと期待を裏切りかねないので、限られた時間でチームの熟成を進めてもらおう。