【映画】ウーマン・トーキング 私たちの選択

文明を切り離して生活するメノナイトの集落で起きたレイプ事件をきっかけに、女性たちがそこに残って男性たちと闘うか、あるいは別の土地へ去るかを話し合うという展開。男尊女卑のこの社会は、まさに「ハンドメイズ・テイル/侍女の物語」のギレアド。女性は教育も受けられず、ただ母体として子を授かる役割に専念させられた上に、子から引き離されてしまう。

メノナイトといえば電気や自動車などの文明を忌避して、自然のままに暮らしているという印象だった僕はかつて、トロント郊外のセント・ジェイコブスというメノナイトの村を訪れてマーケットに立ち寄ったことがあるが、まさに黒装束で馬車を操り、孤高の雰囲気を漂わせた集団だったことを記憶している。この原作の舞台となったボリビアでは、それ以外の要素もあったということなのだ。

アボンリーへの道」では子役だったサラ・ポーリーが監督を務めているが、彼女はトロント出身なのでセント・ジェイコブスを原作のイメージに重ね合わせたかもしれない。社会問題に取り組む彼女にとっては、この作品はライフワークとも言うべきテーマだったに違いない。「赦すことは、許可することと混同される」という台詞に、彼女の思いが詰まっているような気がして、深く考えさせられた。

ちなみに、プライムビデオでの配信が始まったので見ようとしたところ、日本語の字幕も吹き替えもない状態。X(Twitter)でも、そのことに対する不満のポストが散見されたせいか、すぐに日本語対応がなされていた。それにしても「ラストライト」もエピソード2以降は同様だったことから、Amazonのコンテンツ管理が甘い印象を拭えない。価格を引き上げる以上は、このような杜撰な管理ではプライム会員のリテンション効果はなくなってしまいかねない。