【ドラマ】FUBAR

タイトルの「FUBAR」とは"Fucked Up Beyond All Recognition"、つまり「あらゆる理解を超えたぐちゃぐちゃな状況」という意味のようだ。アーノルド・シュワルツェネッガー演じるルークが、同じCIAに入局していたことを知らなかった娘のエマと作戦で関わることになり、親子関係のいきさつを交えて対立しながらも作戦を展開してゆくストーリーだ。

このドラマの最もダメなところは、CIAチームがいかにもこの手のドラマにありがちな構成だということ。若い黒人の情報担当にアジア系女子、コメディアン系の中性的な人物のような形でダイバーシティを表現するのは、もはや使い古された印象がある。それに主役のシュワルツェネッガーもモニカ・バルバロも銃撃戦の場面での動きが緩慢過ぎて、あれで撃たれないところにフィクション臭さが充満してしまった。複数の男女関係をやや過剰に絡めていたことも、ストーリーの焦点をぼやかす結果になっている。

ただ、エンターテイメントと割り切れば、それなりに楽しめる。かつては冷酷無比なターミネーターだったシュワルツェネッガーの表情が、すっかり人の良さそうなおじさんになっているところも時代の流れを感じさせて興味深い。年齢的にも80歳目前という高齢ながら、アクションシーン以外の演技でのキレは十分に感じられた。