【ドラマ】ザ・リクルート

CIAに入局した若手弁護士が、諜報員さながらの活動に関わってゆくという一風変わった路線の作品。序盤から中盤はコメディ要素をうまく織り込んでテンポよく見せてくれたのに、終盤の展開が冗長で盛り上がりに欠け、主人公の嫌な一面がクローズアップされてしまって尻すぼみ感が満載だった。

日常生活においても自分の理屈で相手を説き伏せたり、ルールを破ってまで自分のピンチをどうにか抜け出そうとするのは、いかにも米国的。しかも米国のロースクールで学ぶ学生は、恐らくこんな感じなのだろうと納得してしまうような描き方で、主人公に感情移入することは到底できない。

この作品の一番の問題は、ヒロインである主人公の同居人ハンナの設定と、演じるファイヴェル・スチュアート、吹き替えとすべてが悪い方に揃ってしまったことにある。金持ちでロビイストを親に持つ女性という設定はありがちだが、そのメリットを無邪気に最大限に利用するスタンスは、日本人的な価値観としては受け容れ難いもの。それに輪をかけて、幼い印象で翻訳と吹き替えをまとめたことで、好感度は一気に下がってしまった。ローラ・ハドックの独特な世界観は素晴らしかったが、表現しきれなかった感じもある。

主人公オーウェンを演じるノア・センティネオの演技は悪くなかったが、設定上の年齢24歳が徐々に嘘くさくなってしまった。日本の中高生を扱ったドラマにありがちな、「20代なのに高校生役」というほどではなく、実際に実年齢とそれほどかけ離れた設定ではないのだが、フレッシュさをあえて打ち消したような演出は、この作品の世界観を自ら壊してしまったような気もする。それは、シーズン2以降を見据えてということなのかもしれないが…