【ドラマ】ナイト・エージェント

Netflixのドラマ「ナイト・エージェント」は、どこかで見たことのある俳優の学芸会のようなキャスティング。特にトラヴァース大統領役のカリ・マチェットは「コバート・アフェア」でCIA幹部を演じていた記憶が強いが、そのときに彼女の夫役だったピーター・ギャラガーに本作で副大統領を演じるクリストファー・シャイアーがよく似ていて、パロディなのではないかと思うくらいなのだ。その他にも、「ルシファー」でアメナディエル役のD.B.ウッドサイド、映画「ザ・メニュー」のホン・チャウ、「エージェント・オブ・シールド」のイブ・ハーロウといった面々が、強烈なインパクトで地味な主人公を引き立てている。

ストーリーは意表を突いた設定がこなしきれていない印象もあるが、展開はスリリングでスピーディ。さまざまな側面の「悪人」が複雑に絡み合って暗躍するところや、シリアス場面に笑える要素を盛り込むあたりは、いかにも米国ドラマだ。DCが舞台だが、オベリスクリンカーン像を過剰に持ち出すこともなく、特徴的なフォルムの地下鉄など地に足が着いた見せ方で描いている部分にも好感が持てる。

ただ、タイトルにある「ナイト・エージェント」あるいは作中で使われる「ナイト・アクション」の意味や本当の役割は、最後まで明らかにならなかったことは不完全燃焼の一因。シーズン2に向けた終わり方をしたので、これから描いてくれるのだとは思うが、打ち切りを恐れて伏線を張りきれなかったのかもしれない。ローズが今後も絡んでくるのか、そうでないとすれば誰がヒロイン的な役で登場するのか。そこに期待と不安が集約される。