【ドラマ】エコーズ

Netflixで配信されている全7話のミニシリーズは、双子が人知れず入れ替わりながら時間をまたいだ複数の犯罪にかかわるストーリー。「双子の入れ替わり」はありがちな流れだが、その主人公姉妹の描き方が実にダーティなのだ。ただ、主演のミシェル・モナハン一人二役を演じている関係から、レニとジーナの描き分け、演じ分けが十分とはいえない。つまり、今は誰が映っていて、誰のことを話しているのかということが、あいまいになってしまうことが何度もあったということだ。これは演技力というよりも、演出の問題だろう。

欧米のドラマではよく耳にする「あなたのため」という言葉が、本作でも使われている。何かよくないことをしたときの言い訳に「あなたのため」「あなたを守るため」と言って逃げる場面なのだが、これはキリスト教的な倫理観や家族に対する社会風土が影響しているのかもしれない。日本は家族の結びつきが強いと思われがちだが、現代においては核家族化が進み、親族の交流は限られる。それは、社会風土の要請が義務的であるがために、それ以上の支援や共生につながりにくいということなのではないか。このことは、最近の海外ドラマを見ていて何度も感じていた。

俳優陣では、保安官役のカレン・ロビンソンが圧倒的な存在感を発揮していて、他のキャラクターの影が薄くなってしまった。マット・ボマーやマイケル・オニールも良い味を出してはいたのだが、カレンの表情と特徴的な顔のパーツがあまりにも印象に残る。ドラマの進行上、重要な役割を果たしているので、それはそれで狙った結果なのだろう。