【北欧ドラマ】ヨーアンスン一家2~彼らの正体~

デンマーク版「ジ・アメリカンズ」の様相を呈するドラマの続編は、企業内部に入り込んでM&Aに絡む大掛かりな詐欺を企むヨーアンスン家の物語。グリーンランドの利権に絡んで中国やロシアが登場することも、デンマークドラマではよくある内容だが、政治まで絡んでくると制作予算的に厳しい部分も露呈してしまう。そもそも政治家や起業家として登場する人物にそれらしさが薄く、オフィスや会食の場面もとってつけたようなものになって真実味がなくなってしまったことが残念だ。

何よりも無理があったのが、高校生の娘を秘書として企業に潜り込ませたこと。新進気鋭の起業家が、大人に扮しているとはいえ高校生を自らのアシスタントとして雇うということに無理がありすぎるし、大した仕事をしているように見えない。秘書が重要な機密に触れられるのはその通りだが、それはそれだけの仕事をするからこそであって、単にスケジュール管理と雑用だけの担当ではないのだ。監督も脚本も、実際に企業に勤務した経験がないのか、フィクションと割り切って設定だけにこだわってしまったのか… いずれにしても、政府やM&Aが絡む大型案件のはずが、見かけ倒しになってしまった一番の要因はここにあるように思える。

ただ、この設定はまだまだ展開できるはずなので、ぜひ続きを作って欲しいところ。奇をてらうよりも、シーズン1の路線に戻して地味な詐欺で失敗して笑わせてくれるような内容で十分だと思う。変に名声を追求してしまうと失敗することになるだろう。