【北欧ドラマ】ヨーアンスン一家~彼らの正体~

原題は舞台となる一家が暮らす街の名前「Friheden」で、英語版は「Pros and Cons」、つまり「賛否両論」とか「(その案を採用する場合の)メリットとデメリット」という意味だ。このドラマの全体像を端的に示す表題を設定することは、かなり困難なのだということだろう。そして実際にシーズン1を見終わった印象としては、「ジ・アメリカンズ」にコメディ要素を大増量した感じで、展開にはかなり無理があるものの、二転三転する仕掛けには引き込まれてしまう。中だるみもあるものの、終盤のローラーコースター感は素晴らしかった。

最後の最後まで、誰がカギを握るのかわからない展開は一気見せざるを得ない気持ちにさせられる。そして、最終的には「こうなるかも」と想定した展開にはなったが、そこに至るまでの仕掛けや場面は使い古されたものではなく、しかもデンマークらしさも残していたので、非常に満足度が高い。デンマークのドラマは、日本もそうだが常連の俳優も多く、どこかで見た俳優が登場しているので、それを追ってみるのも面白い。

主人公一家の困窮生活を表現するのが、電車の線路に面した一戸建て。電車が通過するときには家が揺れ、大きな音が世界を包み込む。「ER」のキャロル・ハサウェイがシカゴで住んでいる設定だった家に似た雰囲気もあり、やはり住宅の相場としては「安い」という共通認識を持たせやすいのだろう。主人公が金持ちになりすました際に利用する高級マンションと対比してみると、いかにもな印象だ。