【北欧ドラマ】THE LAWYER ~復讐の天秤~

「フォロー・ザ・マネー」では詐欺対策班の刑事を演じていたトマス・ボー・ラーセンが、逆に巨悪の親玉となる本作。独特な雰囲気には「ガラの悪さ」がにじみ出ていたので、こちらの役の方が見ていてしっくりくる。「フォロー~」を見た制作陣が、彼ならこう使うべきというアンチテーゼを投げかけたのではないかと勘繰りたくなってしまうほどだ。

タイトルにも「復讐」とあるように、幼少期に両親を爆殺された弁護士と刑事の兄妹が真犯人を探す展開。この兄妹のやり方がかなりアグレッシブなので、彼らの不幸は認識しつつも人間性には共感できないままストーリーが進んでゆく。トマス率いる悪者チームも、ワルぶりを如何なく発揮するので、何となく悪と悪のつぶし合いのような印象を受けてしまった。このあたりは北欧ドラマらしいリアリティなのだろうが、もう少し善悪を明確にしてくれると、ベビーフェイスの側に感情移入できて、気持ちよくみられることろなのだが…

舞台はスウェーデンのマルメとデンマークコペンハーゲンにまたがるが、この両都市は橋でつながれていて、その途中にコペンハーゲンの空港がある。僕は出張でコペンハーゲンを訪れた際にマルメにも行ってみたのだが、空港を挟んで華やかないでたちのスウェーデン人と地味なデンマーク人が対比でき、そのあまりの違いに興味を持ったことがある。この両都市は同じ経済圏ながら、カルチャーにはそれなりの差があるのだ。そのあたりも感じながら見ると、さらに楽しめる作品なのだろう。