【メキシコOP】ダニエル太郎―J.J.ウルフ

アカプルコの1回戦でダニエル太郎はウルフと対戦。パワーで強引に押すテニスに終始するウルフに対し、持ち前の粘り強いプレーでストローク戦に持ち込み、ウルフのミスを引き出したダニエルの完勝だった。明らかなミスに見えるジャッジで振り回された感覚もあっただろうが、それをネガティブではなくポジティブなエネルギーに変換できたことも大きかったのではないか。勝利のガッツポーズがいつもより激しかったことに、そのあたりの思いが籠められていた。

ストローク戦に持ち込んだ後も、勝負どころを逃さなかった。ディフェンス能力を発揮して難しいボールを返しつつ、数は多くなかったものの、絶妙なタイミングでのドロップショットやダウン・ザ・ラインが効果的に決まり、有利に進められたことも心理的には大きかったはず。試合全体を通して、ダニエルは余裕を持ってプレーしていたように見えたが、ある意味ウルフの自滅という内容だったということなのかもしれない。

一方のウルフは、柔軟さに欠けた。サーブもリターンも「思い切り打つことがすべて」と言わんばかりのテニス。サーブの打点が早いのは彼のスタイルなのだろうが、もう少し落ち着いて狙った方が結果につながるようにすら感じた。中途半端なビッグサーバーではダメだということだろうか。