【羽生結弦】GIFT

見られると思っていなかった羽生結弦アイスショー「GIFT」は、Disney+が配信してうれたおかげで楽しむことができた。15分遅れて開演し、序盤はつなぎの部分に羽生のナレーションで映像を見せるパートが異常なほどに長かった。ひとりで演じ切るということを考えれば十分なインターバルが必要なのだが、最初は「あまり滑らないのではないか」とちょっと懐疑的な気分にさせられるスタート。

北京オリンピックの再現は6分間練習から始まるという手の込んだ作りで、危ないジャンプもあったが、ジャンプが抜けてもそれなりに見せる演技にしてしまうのは、さすがに羽生ならではだった。40分という長い長いインターミッションを挟んだ後半は、いきなりロックナンバーで再開。個人的には、この曲調ならゲイリー・ムーアの「パリの散歩道」も見たいところだったが、それは叶わなかった。

クラシカルな曲でも激しいロックでも、羽生なりのアレンジと振りで見事に表現する。あれだけの表現力があって、さらにジャンプも跳べるということが、彼の素晴らしさだったのだろう。表現力は引退しても衰えることはなく、いっそう磨きがかかっていた。

本人MCから「GIFT」の演奏に移り、そのまま「春よ、来い」へ。季節的に考えてこの曲がトリだと思っていたのだが、その後にもエキシビションのアンコールのように短いパートではあったが「SEIMEI」まで見せてくれた。最後はお約束の「ありがとうございました」を肉声で届け、名残惜しそうに一夜限りの仮設リンクを後にした。集音がうまく行っていない部分があったことが残念だが、それらを含めても素晴らしいショーを配信してくれたことに感謝している。