【ドラマ】オザークへようこそ シーズン1

全体的な印象としては、「ジ・アメリカンズ」と「ブレイキング・バッド」の要素を感じる構成。まっとうな職業を務めるまじめな人物がダークサイドに落ち込んでしまうところは「ブレイキング・バッド」で、想定外に攻撃的な性格の妻が話術巧みに窮地を乗り切るところが「ジ・アメリカンズ」だ。ただ、「オザークへようこそ」がこれらの作品の模倣ということではなく、オリジナリティは十分に担保されている。

そして、その「ジ・アメリカンズ」では主人公のフィリップがスパイ活動のために接近したCIA幹部の娘として出演していたジュリア・ガーナーが、盗賊一家の娘として見違えるような演技を見せてくれる。どちらかというと小悪魔ロリータ系の印象が強かったが、アクの強さも加わり、存在感溢れる俳優に成長している。本作で、エミー賞助演女優賞を受賞しているのも当然のように感じられる充実ぶりだ。

それにしても、この作品の登場人物は揃って個性が強い上に自己中心的なので、なかなか感情移入はしづらい。「このドラマの誰が好きか」という質問に、僕は簡単には答えられないが、強いて挙げるならジュリア・ガーナー演じるルースだろう。オザークという地名は実在するようだが、ここまで悪いヤツしか住んでいない街のように描かれては地元も困惑したのではないか。あるいは、ロケ地ツアーで潤うから良いと割り切っているのだろうか。