【ドラマ】Your Honor~堕ちた裁判官~

各国でリメイクされているイスラエルのドラマのフランス版だけに、非常にスリリングで面白い展開と内容だった。主人公の裁判官は、息子が起こした自動車事故のもみ消しを企てたことから転落が始まり、思いもよらない展開から次々に犠牲者を生んでしまう。コメディかのようにできすぎた流れなのだが、それがわざとらしくない上に、主演のカド・メラッドの演技力でしっかり見せてくれる。

息子のリュカはただの大バカ者ではなく、経緯と意図が明かされて、ある意味大どんでん返しの結末が待っているので、最後まで注意が必要だ。全6話なのであっという間に見終わってしまうが、無駄がなく満足感だけが残るドラマだった。やはり「嘘つきは泥棒のはじまり」なのかもしれないと思わせる内容で、嘘を嘘で塗り固めることも難しさを目の当たりにさせられる。ブライアン・クランストン主演の米国版も、そのうち見てみたいものだ。

また、主人公の声は「メンタリスト」のパトリック・ジェーン役を吹き替えた郷田ほづみ。どうしても「ジェーンさん」のイメージが強いが、あのニュアンスは残しつつも老獪な迷える裁判官をうまく演じていた。

テニスファンの僕にとって、ちょっと笑ってしまったのが登場人物の名前。主人公のガーストネームがリシャールで息子がリュカ。これだけでもフランス人テニスプレーヤーのガスケとプイユと同じなのだが、その他にも中心人物にマチューとシモンがいるので、テニスの中継かと思うような聞き覚えのある名前のオンパレードだった。