【ラグビー】イングランド―日本

ニュージーランド相手に善戦した日本代表ながら、イングランドの厚い壁を突破することはできず完敗に終わった。イングランドの守備は完璧で、ただでさえ体格が良い上に動ける選手が揃っているのだが、動き出しも早いし迷いもないプレーを移設蹴られてしまった。FWが当たりに行っても動かすこともできないし、ハンドオフもまったく通じない。イングランドの攻撃では、タックルもなかなか届かなかった。スクラムでもコラプシングを取られており、フロントローは辛かったことだろう。

気になったのは、スクラムハーフの余裕のなさ。攻撃を展開する上でアジャイルな判断力と動きが求められるポジションだが、日本の9番を託された流は焦りが窺え、より良い選択肢を判断できていなかったように見えた。一方のイングランドは実績豊富なヤングスではなくヴァン・ポート・ヴリートを起用したものの、格の違いが歴然だった。

近年のラグビーではキックも重要な要素なのだが、意図の感じられない苦し紛れのキックばかりだった。つなぐでもなく、陣地を回復するでもない中途半端なキックでは相手のチャンスになってしまうだけだ。攻撃では、右サイドで山中から松島につないだ場面に可能性を感じたが、もうひとりサポートが欲しかった。トライの場面はディアンズがうまくルーズボールを拾って突進し、サポートした齋藤に渡したもの。やはりサポートが重なののだ。

それにしてもトゥイッケナムは最高だった。聳え立つスタンドを埋める観客が作り出す独特の雰囲気が、ラグビーの楽しさや位置づけを明らかにしていた。彼らにとってラグビーは譲れないスポーツなのだろうし、ニュージーランドなど南半球勢の台頭を許せない思いも強いはず。来年に迫ったワールドカップも楽しみだ。