【ドラマ】THE TUNNEL/トンネル-国境に落ちた血

「ブリッジ」のリメイクは複数存在するが、本作は舞台をユーロトンネルに移して英国とフランスの間の駆け引きを盛り込みながら展開する。ただ、ユーロトンネルでの事件がその後の展開にはあまり影響せず、あくまで物語の仕掛けとしての意味しかないところが残念だ。英仏両国を何度も行き来しながら捜査するのだが、街の見せ方もありきたりで、ドーバー海峡の両側の対比という視点は不十分だったように思う。

しかしながら、フランス人気質の描写はなかなかリアリティを感じさせてくれる。主演の若手警部エリースは、他人の感情がわからない性格。生死がかかった場面で情報を聞き出すことにこだわったり、捜査の段取りも合理性を優先して気持ちには配慮しない、というかできない人物を好演している。しかも、チームとして捜査を進める英国警察のカールの息子と寝てしまう上に、セックスフレンドの存在を公言するなど、性に関しては自由奔放に楽しもうとするところも、英国視点でのフランス人なのだと考えると興味深い。

ただ、本当の狙いである対象を最後にとっておいてまで、壮大な改革を立てて連続テロを引き起こす意味とモチベーションは何なのかという点については、どうにも納得がいかない。途中で失敗するリスクを踏まえれば、最初に最大の標的を狙うものだと思うのだが… このあたりに作り物っぽさを感じてしまうこともあって、シーズン3まで続いているのだが、見るかどうかは決めかねている。