【北欧ドラマ】不機嫌な人々

1話30分ほどの全6話なので、もっとあっさりした内容かと思いきや、かなり骨太なストーリーだった。「不機嫌な人々」はスウェーデンの警察に勤務する親子警官が、中古住宅の内覧会で起きた人質立てこもり事件に巻き込まれる内容。犯人が消えてしまい、人質だったはずの市民たちが嘘をついていることがわかってくるという展開で、「マーダー・イン・ザ・ビルディング」のような雰囲気でもある。

展開としても伏線が張り巡らされている上に、視聴者をひっかけるトラップも仕組まれていて、真実は何だったのか最後まで興味を持って見続けられる。最初のシーンで、警官の息子が床屋で変な髪型にされてしまったことでコメディなのかと思わされたのも、ある意味トラップのひとつだろう。そして、その真実の裏にある人情味は、日本のドラマが得意とするような範疇のものだ。小劇場系の脚本をドラマ化した雰囲気なので、これを芝居として見ても面白いだろう。その方が、感情表現をダイナミックにすることで、テーマはより明確になるはずだ。

役者陣もなかなか演技派が揃っていて、味わいのある表情と台詞回しで世界観を築いている。ヤックを演じるアルフレッド・スヴェンソンはとぼけた演技がハマっていて、彼なしにはこの作品は大きく違ってしまっただろう。最近見たドラマの中でもトップ3に入るくらい、素晴らしい仕上がりの作品なので、ぜひ見ることをオススメしたい。