【北欧ドラマ】捜査官カタリーナ・フス

最初のエピソードでは、まるでアメリカのドラマ「ルーキー」のような設定と演出で、期待値が一気に下がってしまった。しかし、そこはさすがに1話89分の本格派ということで、新人いじめのような「添え物」に走らず、中身で見せてくれるので最後まで一気に見ることができた。新人警官が、母親が警察幹部という利点を生かして、あっという間に刑事から重大犯罪課へと思い通りのキャリアを築いてゆくのはわざとらしいが、スウェ-デンのドラマでは「権威」は忌避される象徴のようなものなので、よくある話なのかもしれない。

基本的には1話完結だが、序盤から中盤にかけて、とあるキャラクターの言動を左右している過去の事実が気になるところ。そのモヤモヤを、最終エピソードでしっかり解明してくれるのはありがたい。「ブラックレイク」では金持ちのバカ息子を演じていたフィリップ・ベルイが、難しい役どころのロバートを巧みに演じているところは必見だ。

ただ、1話90分近いのは苦行のよう。50分代でも長く感じてしまうので、個人的には45~48分程度で終わってくれないと集中が続かない。これは行きつけのコーヒースタンドの店主とも意見が合うところだ。恐らく、編集しようと思えば60分程度には収まりそうな感じだったが、あえてじっくり見せることでクライマックスの展開の重みを表現していたのだろう。

それにしても、北欧系のドラマにはいわゆるイケメンや美女は出てこない。日本のドラマが若手タレントを起用することで話題を狙う風潮とは大違いだ。ドラマは一義的にはドラマを見せるもので、推しの演技を楽しむものではない。