【ローランギャロス】アニシモバ―大坂なおみ

メルボルンで敗れた相手と、苦手なクレーでの対戦。大坂なおみは、この試合に何が何でも勝つという意識は見られず、リカバリーの一環くらいの捉え方だったのではないか。自分のプレーが決まらないときに、ときおり声は出していたが、意訳すると「あーもう!」くらいの感じで、勝ちへの執着から来たものではないように思う。言い方を変えると、メンタルをコントロールすることが課題だったのかもしれない。そうだとすれば、この試合はミッション・コンプリートだろう。

結果だけ見れば、どちらのセットもブレーク1つの差だが、内容はもっと開いていた。アニシモバも決して調子が良いわけではなさそうだったが、要所でサーブが決まった。一方の大坂は、大事な場面でダブルフォルト。終盤には足を痛めたのか、明らかに無理をしなくなった。ただでさえ、クレーのバウンドに合わせられずネットに掛けることの多い大坂が、足をかばってポイントを取れるほどアニシモバは甘くない。

ATPとWTAは、ウィンブルドンがロシア人を排除した対応としてポイントを付加しないこととしたため、大坂も欠場を示唆したようだ。これは、ある意味、芝のシーズンもスキップして得意なハードコートに向けて準備するためのエクスキューズになったのだが、プロテニスプレイヤーとしてどうモチベーションとプレーの質を維持するかは相当難しいだろう。アシュリー・バーティとは違う形でコートを去ることになったとしたら残念だが、その可能性は小さくないだろう。