【TOKYO 2020】女子サッカー/日本―英国

完全に力負けだった。個の力も組織力も、そして監督の采配もすべてが完敗だ。前半こそ、DFラインを高く保って何度も仕掛けることができていたのだが、後半は英国のギアチェンジに対応できずにDFラインが下がってしまう。ボールを奪っても前線までが遠いので、長いパスを通そうとすれば網に掛かり、ドリブルで運べば個の力で奪われる。宮川と杉田は奮闘していたのは事実だが、プレッシャーを受けて足元でのミスが相次ぎ、流れをつかむことができなかった。

高倉監督の采配も残念だ。全体が押し込まれて、奪ってもすぐロストし、セカンドボールが拾えない時間帯に、なぜ籾木の投入だったのか。ここは三浦を入れて中盤の奪取力を上げるか、菅澤を入れて前線で張らせるべきだった。結果的に、籾木がボールに絡むシーンはほとんど見られなかった。そして遠藤も前線では空回りし、唯一チャンスを作り出した岩渕は80分の投入。投入した選手をどう使うか、何を変えて何を継続するのか。そんなメッセージ性のない交代は、ビハインドの状況では役に立たない。

失点は不運だったとしか言えない。あの場面でホワイトと競ったのが本職DFの熊谷や南だったら、飛び込んできたホワイトに体を当てるなど違う対応ができたはず。そこにいたのが中島だったということが、誤算だった。かえって誰もいない方が、GK山下はクリアできていたようにも思う。それでも、この試合で最低でも勝ち点1を積み上げなければならなかったのだから、先に失点した場合のプランBをチームが共有できていなかったことは致命的なのだ。