【TOKYO 2020】テニス1回戦

実力だけでなく経験がなせる技だろう。母国東京で開催されたオリンピックの1回戦で結果を残したのは、やはり実績のある選手だった。大坂なおみは最終聖火ランナーでもあり、ローランギャロスでのメンタル発言からの流れを受けて、初戦で負けるわけにはいかない状況だった。しかし、彼女はそんな重圧をストイックに跳ね返して、ジェン・サイサイに完勝を収める。錦織圭も、好調だったルブレフ相手に危なげない勝利。体はキレており、ショットにも自信があふれていたように感じた。

ダブルスの錦織とマクラクラン勉組と土居美咲も残っているが、残念ながらそれ以外の選手たちは早々に姿を消してしまった。率直に言って、ドロー運がなかった。西岡良仁はセットアップからハチャノフに、ダニエル太郎はマッチポイントを握りながらソネゴにそれぞれ逆転される。どちらも簡単には勝てない相手であり、しかも今が旬の選手だった。それ以上に残念だったのが、女子ダブルスの青山修子と柴原瑛菜。ベンチッチとゴルベクという難敵に当たってしまい、堅さの垣間見えるプレーで実力を発揮することができなかった。特に青山は、普段からは想像できないようなミスを繰り返しており、おそらく不完全燃焼だったことだろう。

酷暑の大会で、普段から注文の多いジョコビッチとメドベージェフが時間変更を訴えているが、大坂と錦織はあまり暑がっているようには見えなかった。要は慣れと準備によるところも大きいのだろうということだ。台風の接近を考えれば、晴れている間に試合を消化しておきたいのは当然のところ。これだけの負担の中で開催された大会であることに敬意を持ってくれたら、自分たちの快適さだけを訴えることはないのではないだろうか。