【ラグビーワールドカップ】イングランド―アメリカ

80分が経過したことを告げるホーンが鳴り響いて、アメリカが保持していたボールがイングランドに渡る。普通ならタッチに蹴り出してノーサイドという場面なのだが、イングランドは試合を切らなかった。フィジカルを生かして前に前にと進み、止められてもただでは倒れない。ひとりでも多くかわして、少しでも前へ進もうとするコミットメントが過剰なほどにうかがわれた。

 

もはや思い通りには体が動かない両チームだったが、バタバタと攻守を入れ替えて展開したあげく、最後の最後でボールをアメリカが押さえる。シャットアウトを目前にしながら、もうワントライを目指したイングランドは、結果的に失点してしまった。しかし、それは前回大会で南アフリカ相手に逆転した日本チームのように、すがすがしいプレーだった。おそらくイングランドチームもエディ・ジョーンズも、悔いはないだろう。

 

あちこちの会場でホスト国としての日本人のホスピタリティを称える報道があり、僕としても誇らしさがある。しかし、同時にビジターたちの礼儀正しさやスポーツマンシップが日本人のメンタリティと共鳴しているのも事実だろう。ラグビー選手はノーサイドの精神とも相俟って、ディシプリンが叩き込まれている。それはサッカーやバスケなど他の競技とは、明らかに一線を画している