【ドレスデン展】伊万里とフェルメール

フェルメールの「手紙を読む女」が見られるということで、東京に来るのが待ち遠しく、神戸にまで見に行こうかとすら思ったほどでした。ベルリン展と同じで、全体的な興味はそれほどあったわけではないので、ピンポイントで見ようと。

ところが、フェルメールにたどり着く前に興味を惹かれた展示があった。それが伊万里焼の大作3点で、マイセンなどの陶磁器と並んでも、圧倒的な存在感と芸術作品としての美しさを誇っていたんです。日本芸術の素晴らしさをあらためて実感でき、それが新鮮な驚きでもありました。

さて、「手紙を読む女」だ。フェルメールの良さは構図にあるけど、この作品も窓から差す光がガラスに映す女性の横顔と実際の顔とが合わさることで、ひとつの表情を構成している。それに、カーテンや服などのファブリックの描写も、質感や素材の風合いが見事に描かれているんです。

この作品は、レンブラントの作品だと思われていたらしい。確かに筆致は似ていなくもないが、フェルメールの「柔」に対して「剛」の感があるレンブラントとなぜ混同したんだろうかと思った。ところが、少し先にレンブラントの弟子の作品があって、これはまさにフェルメール的な柔らかさのあるタッチだった。その作品を知ったおかげで、レンブラントフェルメールが僕の中でつながったような、そんな気がしました。

http://www.dresden-ex.jp/