【フィギュア世界選手権】羽生に神が降りた

トリノオリンピック荒川静香が金メダルを獲得したときのフリーの演技を振り返って、同じ表現を使ったことがある。ヘルシンキで開催されたフィギュアスケート世界選手権の男子シングルで、羽生結弦はショート5位から大逆転で優勝を果たした。そのフリーの演技は非の打ちどころがなく、荒川のとき以上に完璧な演技だった。神に愛でられていなければ叶わないような、素晴らしいパフォーマンスだった。

最終グループ第1滑走の羽生の出来は、間違いなく後続の選手にプレッシャーをかけた。ボーヤン・ジンとパトリック・チャンが順位を落とした後、宇野も羽生に抜かれたものの、最終滑走のハビエル・フェルナンデスにはさらにプレッシャーを強めたであろう上々の出来だった。そしてフェルナンデス。ただでさえ三連覇に挑むプレッシャーと闘う彼に、この滑走順は酷だったと言えるだろう。

それにしても、ブライアン・オーサーのコーチとしての成果は目を見張る。男子シングルは羽生、フェルナンデス、フェルナンデス、羽生で4連覇。女子シングル3位のガブリエル・デールマンも指導しているし、何よりキム・ヨナを教えていたことでも有名な人物だ。宇野昌磨も、もう一皮むけようと思ったら、コーチを代えるくらいの決断が必要かもしれない。