【フィギュアスケート】全日本選手権

男子シングルは、羽生結弦の圧倒的な演技で幕を閉じた。ショートで失敗した宇野の攻めた構成も、そのプレッシャーに屈しない演技を見せた鍵山も素晴らしかったが、羽生の着氷の安定といつもながら何かが憑依したかのような緊張感のある演技は圧巻だった。コロナ禍の影響で大会の数も限定的だったこともあり、ターンやステップシークエンスで構成の完成度が低かったのは致し方ないところだろう。

髙橋大輔の転身で話題沸騰のアイスダンスは、小松原夫妻が貫録勝ち。日本国籍を取得して小松原尊となったティム・コレトは、日本語も格段に上達して演技にも余裕が感じられる。村元哉中が当日練習で転倒した際に髙橋が左ひざに乗ってしまい、出場が危ぶまれていた。そんな中でのリズムダンスだったが、村元をかばってリードしようとする髙橋の姿が印象的で、彼らしいステップにも磨きがかかった。リフトはまだまだだが、ぜひ世界選手権やオリンピックで両カップルを楽しむために、2枠を取って欲しいところだ。

女子シングルでは、久しぶりに登場した本郷理華に注目だ。以前は辛そうな表情で滑ることが多かった彼女だが、今大会では笑顔が随所に見られ、スケートを楽しんでいるように見える。今の本郷がリバーダンスを滑ったら、一味違って華やかなものになるだろう。また、こちらも復活した三原舞依の表情も素晴らしい。闘病生活でかなり痩せてしまった点が気がかりだが、演技を見る限りはかなり戻ってきているように思う。女子シングルは坂本、宮原、樋口らも控えているので、今日のフリーに注目しよう。