【北京オリンピック】フィギュア団体男子シングルフリー

フィギュア団体のフリーは5チームだけの戦いなので、あっという間だ。男子シングルはカナダのサドフスキーが散々な結果に終わった後、ボーヤンが地元開催で高まるモチベーションをぶつける演技を見せた。高さのあるジャンプは彼に魅力だが、雑になってしまうところとステップやスピン系の表現力に課題があるので、どうしても高得点につながらない。

続くコンドラチュクも鼻息の荒い演技。ロシアにとって弱点は男子シングルでもあり、コリヤダがコロナ陽性で出場できないという事情もあって、コンドラチュクの意識も高かったのだろう。4回転のジャンプは決めるが、ロシアっぽくない荒い振りや表現力の単調さは如何ともしがたいところだ。こうなると、鍵山優真には10ポイント獲得の期待が高まったが、それをあっさりと決めてしまうところが素晴らしい。プレッシャーもあっただろうし、リンクに下りた時点では顔色が悪いようにも見えた。それでも最初の4Sを決めて落ち着くと、次々と難度の高い技をこなしてゆく。後半の4Tからの3連続もきれいだったが、その直後に跳んだ3F+3Loの一連の流れの美しさには息を飲むしかなかった。僕がその場にいたら、間違いなくスタンディングオベーションしていただろう。

ビンセント・ジョウは回転不足もあってポイントを伸ばせなかったが、このあたりがネイサンや羽生、宇野との違いだろう。安定感のある日本の3選手は、個人戦でも間違いなくメダル争いに絡んでくるだろう。ネイサンが割って入ったとしても、複数メダルを確保できる可能性は非常に高い。そんな結果を呼んでくる、素晴らしい演技を期待しよう。