【北京オリンピック】フィギュアペアフリー

男子シングルは最終滑走ネイサン・チェンを残して日本勢が暫定3位までを独占していたが、ペアはROCが独占しているところで隋文静/韓聡が滑るという似通った状況。しかも、中国にとっては、わざわざペアをフィギュアスケート競技のトリに据えてまで期待していた種目だ。隋/韓組への期待もプレッシャーも、相当に大きかったであろうことは想像に難くない。ミーシナ/ガリアモフ組もタラソワ/モロゾフ組も小さなミスしか犯していない中、隋/韓組はいきなりクァドのツイストリフトで攻めた。最終的には0.63という僅差でタラソワ/モロゾフ組を抑え、悲願の金メダルを獲得した。

一方、三浦璃来/木原龍一も素晴らしかった。フリーだけで見れば5位。それも、4強の一角ボイコワ/コズロフスキー組に0.87差に肉薄する高得点を挙げ、存在感を示した。スタート前には、緊張が窺える三浦に対して、木原がコーチも交えてリラックスさせようと奮闘する様子も垣間見えたが、それだけチームとして機能していたということだろう。29歳の三浦には年齢的な壁もあるが、インタビューでは「まだまだ走り続ける」と力強く言い切ってくれたので、今後にも期待したい。

演技そのものを離れても、ペアには様々なストーリーがあった。コロナ陽性でコンディション不足を強いられた選手もいれば、国籍を変えてオリンピックに挑んだ選手もいる。そして性自認「Q」であることを公表した選手も。そんな背景まで知ると、マイナーな競技と思われがちなペアの、別の一面が見えてくる。