【Bunkamura】これぞ暁斎!

Bunkamuraザ・ミュージアムの「これぞ暁斎!」は、鬼才・河鍋暁斎の展覧会です。いま読んでいる村上春樹の新刊「騎士団長殺し」を買ったときに書店がつけてくれた栞が割引券になっていたのですが、この本の中で春樹が「日本画は線で表現する」という趣旨のことを書いています。

この展覧会で見る暁斎の作品も、描かれている対象の表情は線で緻密に描かれています。しかし、木の枝を筆の一筋で表している表現方法もあり、これは春樹の言う日本画とは異なるアプローチだと感じました。線で区切られた面を彩色するだけでなく、線それ自体が面になるとでも言えば良いでしょうか。

一部の区画はいわゆる春画が展示されていますが、それに限らず暁斎の作品はとても庶民的、通俗的若冲が解き放った自由さの、さらに先にあるような気がしました。ただ、晩年の作品は非常にオーソドックスで信仰心に絡めとられたような雰囲気になっていたのは意外です。基本ができているからこそ、自由な画風でも評価されるということなのだとは思いますが…